陰茎の亀頭部分が包皮によっておおわれた状態を包茎と呼びます。包皮の口が狭く、亀頭がまったく露出できない真性包茎と、包皮を反転すれば亀頭が露出可能な仮性包茎とに分かれます。
包茎は、勃起障害や排尿障害の原因になるほか、亀頭周囲に恥垢が溜まり、亀頭包皮炎やコンジロームなどの感染症をきたしやすく、陰茎がんの原因になることもあります。仮性包茎の包皮を反転したまま放置すると、陰茎の血行障害がおこり、亀頭や包皮が腫れあがってしまうことがあります。これを嵌頓(かんとん)包茎と呼びます。
(写真)嵌頓包茎の例 ポルノグラフィーではありませんので、参考のために必要最小限と思われるサイズに抑えてあります。別窓で出ます。
亀頭と包皮内面の炎症を、亀頭包皮炎と呼びます。ほとんどが包茎患者に発生し、恥垢集積による不潔がおもな原因となって発病します。多くは小児に起こりますが、まれに成人やお年寄りにも発病します。包皮の腫脹、発赤、疼痛がおもな症状ですが、ほかに、排膿や排尿痛が出現する場合もあります。治療には、局所を清潔に保つとともに、抗生物質の内服薬や軟膏が使用されます。何度も再発をくり返す場合には、包茎の手術が必要になることもあります。
包茎に悩んで医者に相談すると、包茎手術を受けて悩みを解消するように勧められることがあります。包茎を手術すれば陰茎がんに罹る可能性が小さくなるとも言います。でも、喜んでアソコを切られる男性はいないでしょう。あなたならどうしますか?
あなたの置かれている状況が分かりませんので一般的なことしか言えませんが、大人になってからの包茎手術にたいしては慎重であったほうが無難でしょう。手術以外にも妥当な選択肢がいろいろありますから、手術を選ぶ前にそれらをすべて試みるべきだと思います。
結局、手術以外に解決法が無い、と分かった場合でも、包茎手術がどういうものなのかよく知ったうえで決めるべきです。手術の方法には、おもに小児に行われる背面切開術と、成人に行われる環状切除術があり、年齢や包茎の程度によって決定されます。包茎手術は通常、外来手術で済みます。それでも手術という大問題であることに変わりはありません。失敗する可能性もあります(熟練医の場合で約2%)。術後も、1週間ほどは労働を控え、4〜6週間はどんな性行為もできません。
包茎手術が陰茎がんの予防になるという指摘は、大人が失敗のリスクを冒してまで包茎手術を受ける理由になるかどうか疑問です。陰茎がんの発生はまれですし、生まれてすぐに包皮切除をしなければ、陰茎がん予防の効果は少ないようです。包茎手術が尿路感染症の予防になるとも言われていますが、これも小児期に限られた話ですし、そもそも尿路感染症の発生率は、包茎の男性でさえなお女性よりは低いのです。治療も比較的容易です。
あなたが包皮切除にたいして抵抗を感じるのは当然です。包皮が有るか無いかという問題は男性にとってきわめて重大な問題ですから。アメリカ合衆国などでは文化的・宗教的理由から親の意志で幼児期に包皮切除手術を受けることも多いのですが、そのような男性が包皮を復元するための団体があるほどです。
包茎手術を受けるか受けないかで悩んでいる男性は年齢にかかわらず大勢います。手術以外にも解決法はあります。それでも包茎手術を受ける人たちの大半は、治療が必要だからではなく心理的要因からそうする、というのが実態です。
包茎手術と言っても、真性包茎・嵌頓(かんとん)包茎と仮性包茎とでは範疇が異なります。
真性包茎・嵌頓包茎は手術を必要とする健康障害と見なされ、保険適用で手術を受けられますし、受けるべきです。
仮性包茎は医学的に手術が必要でないと見なされ、保険は適用されません。仮性包茎の手術は美容整形の範疇に入るのです。
ですから、仮性包茎の手術を受けるかどうかは、医学上の要不要で決めることではなく、他の美容整形と同じく、本人の心理的欲求で決めればよいことだと思います。
すでに述べたように、大人になってからの仮性包茎手術に病気の予防効果はあまり無いのかもしれません。そもそも、仮性包茎の手術を受けようか受けまいかと悩んでいる人たちにとって、病気予防という医学的問題はそれほど重要なことではないのではないでしょうか。最大の悩みは、仮性包茎で恥ずかしい、という心理的・主観的な問題だと思います。この悩みはもともと科学的事実に基づいたものではありませんから、客観的・理論的にいくら説明されても消すことはできません。
恥ずかしいとか恥ずかしくないとかの問題は、本人がどう思えば良いかということよりも、本人の周囲の人々や世間がどう思い込んでいるかということが影響する性質のものです。人間社会は客観的事実だけで行動できるわけではないのですから、医学的根拠が有ろうと無かろうと、仮性包茎がどうしても恥ずかしいと思う人は恥ずかしいで仕方が無いし、恥ずかしくないと思える人は恥ずかしくないで結構なことなのだと思います。
結局、あなたの仮性包茎の手術は、諸要素を総合的に判断したうえで、あなたがしたければしてもよいし、したくなければしなくてもよいのです。